しまぐらし ~事務屋の日記~

霞が関で国家公務員を務めていた事務屋さんが、ひょんなことから島に移住していろいろと思うところを書き連ねていきます。

Sakana bacca 梅ヶ丘 の炎上騒ぎ

食育とかESDって、意義が分かりづらいと思うんです。
実際、初めて「食育」という言葉を聞いたとき、なんでそんなことを子供に教えるのか不思議だったし。
ところが、今回のこの騒動を見て、食育とかESDが浸透していればこんなことにはならないような気がしまして。
 
↓コメント欄絶賛炎上中
 
だって、絶滅危惧種のお肉が100gで\498だよ?
この時点でおかしいと思わないといけない。
パンダの肉が安売りされてたら「安くて良かった!」って思います?←ESDですね
 
食べ物は旬にいただくべきだと分かっていたら、この時期のマグロのセール品なんて買わないでしょうよ。←食育の部分
 
 
それはさておき、この騒動の気持ち悪いところは、絵に描いたようなバータリーの対応が続いているところですよ。
 
・安売りの告知をする
・どこのマグロかと聞かれ、「壱岐の一本釣り」と答える
・すぐに「この時期、壱岐の漁師はマグロ釣ってませんけど」と突っ込まれる
・「長崎本土の漁師が壱岐沖で釣って本土に水揚げしたものを仲買が福岡の市場で買った」と答える
・すかさず「どこの漁協の漁師だ!」「福岡の市場では壱岐のマグロを取り扱ってないぞ!」というツッコミが入る
・お詫びベースのコメントを発表←今ココ
 
事実関係を再調査するとしながらも、『「sakana bacca梅ヶ丘」において、自主禁漁期間中の壱岐沖で漁獲されたホンマグロを販売したことにつきまして、地元漁業関係者の皆様ならびにお客様に対して深くお詫び申し上げます。』と言っているあたりがなんとも微妙ですよね。
この書き方だと「壱岐沖で漁獲されたホンマグロ」ということは調べがついた、ということなのかしら。
つまり、「一本釣り」「長崎本土の漁師」は事実ではなかったことが分かって、それをどう説明するか思案中ということなのかなと推測。
問題は、誰が嘘をついたのかをどうやって説明したら消火できるかな、、、という点ですかね。
 
仲卸業者との間で「持続可能な漁法による魚介類を買い付ける」という契約をしてるなら、仲卸が契約違反したことになる。
特にそういう条件を付けず、普通に「長崎産」として仕入れただけなのに、店員が勢いで『長崎県壱岐の釣り物(魚体40キロ以上)』と言ってしまったのならお店(と親会社)の責任。
 
後者だとしたら、最初に突っ込まれた時点で「店員が勝手に嘘をつきました」って言えばそこまで炎上しないだろうに、「長崎本土の漁師ガー」とか言ってつじつまを合わせようとするから、、、ねえ。
 
いや、「店員が勝手に」では済まされないのか。
会社として『水産資源の持続的な利用に向けて調達面から寄与したい』とまで言い切っているんだから、これが店員の勝手な嘘だったとしたら、このクロマグロ以外の商品への信頼も揺らいでしまうもんねえ。
 
しかも、6/30の時点で
まず、当社店頭に並んだ経緯でございますが、
長崎県内(九州本土側)の漁師が壱岐沖まで出漁し、一本釣りによって漁獲
・漁獲されたクロマグロ長崎県内の本土側の港に水揚げ
・福岡の市場で仲買が落札したのち、当社が購入
・東京の当社センターまで陸送したのち、当社店舗で解体・販売を実施
されたものであると確認いたしました。
って言いきってるからね。これがウソだったとしたら、会社の体質の問題だ。
 
なので、野次馬として関心があるのは、巻き網のマグロだったんですね、というような結末よりも、6/30に発表した調査内容は、どうやって調べたものなのかという点。
特に『壱岐沖で一本釣りによって漁獲されたことを確認しております。』『巻き網によって大量漁獲されたクロマグロではございません』『危機に瀕する水産資源の調達には留意しているところ』『水産資源の流通に携わる企業として、より一層、調達・販売面において責任ある行動に留意したい』
のあたり、どうやって正当性を説明してくれるのだろう。
 
会社が怪我しない結末は「仲卸に確認したとき、長崎本土の漁師が壱岐沖で一本釣りしたのを買い付けたって言ったから!」くらいしか思いつかないけどねえ。それで納得させるには、仲卸会社の名前を出さざるを得ないし、それを許す会社があるとも思えない。喧嘩別れを覚悟で社名を出して裁判を起こすのかもしれないけど、そうすると今後の仕入れが不安。
 
すると、「6/30に調べたと言ったのは嘘でして、担当が考えた妄想ストーリーだったのです」ということになるけど、それだとクロマグロ以外の商品も巻き網なんじゃないの?って二の矢が飛んでくるもんねえ。
 
そうすると、「仲卸を通したというのは嘘でしたが、長崎本土の漁師と直取引したのです」ということか。で、漁師さんにも生活があるので実名はここには書きませんけど、ということにして。そうすれば、市場・仲卸を通さない方が漁師の取り分が多く、会社のビジョンにも合致するのだとか言えるし。
 
それにしたって正義のSNS陣がだまってないよねえ。「どこの漁協の漁師だ!公表しなくてもいいけど答えろ」ということになろうし。
オサレイメージで売ってる会社なんだから、落としどころを間違えると大変なことになりますしね。
 
そうそう、ついでに書いておくと、巻き網のマグロを一本釣りと称して売ったとしたら景品表示法に触れますよね。
消費者庁さん、出番ですよ!
 
やっぱり、食育もESDも大事だけど、消費者教育も大事ってことだな。