しまぐらし ~事務屋の日記~

霞が関で国家公務員を務めていた事務屋さんが、ひょんなことから島に移住していろいろと思うところを書き連ねていきます。

衆院選2017:自民党の改憲公約について考える

そもそも与党と言うか現政権は、集団的自衛権の行使について、憲法学者が「違憲だよ」って言っているにも関わらず閣議決定したのでしたよ。それなのに、憲法学者違憲って言ってるから9条を変えます、と言っても説得力が無い。
ただ、野党が言ってることにも説得力が無いので、9条については争点にならないと思うのですが。

とは言え、与党の公約を見ると、もう一つ「参院比例区の合区解消」を挙げているのも気になるところ。
なんでこれがマスコミで騒がれないのかと不思議ですけども、これはスジの悪い問題ですよ。
だって、参院の合区については、最高裁が合憲って言ってますものね。学者がどーとかこーとかいうレベルじゃないんですよ。最高裁ですよ。

もちろん、最高裁が合憲って言っていても、それを止めちゃいけないというロジックはありませんよ。例えば「死刑」だって合憲ですけど、これを止めましょうという公約はあり得ると思いますけれども。
でも、憲法を改正して合区を解消しようと言うのは、かなり乱暴な議論ではありませんことかしら。

合区を解消しようと思ったら「参院は地域代表だから一票の格差は容認する(アメリカ上院方式)」か「ブロックごとの比例代表にする(衆院比例区方式)」か「一票の格差を解消できるように定員を増やす」が現実的だと思うけど、区割りとか定員は公職選挙法の問題だから、憲法改正項目に合区解消を挙げてるってことは、「参院は地域代表」って憲法に明記するってことですかね?

と思ってマニュフェストを見てみたら、「政治・行政改革」の項目に「都道府県が、歴史的にも文化的にも政治的にも大きな意義と実態を有している中で、二院制における参議院のあり方、役割を踏まえ、憲法改正等により、3年ごとの半数改選時に各都道府県から少なくとも一人が選出されるよう参議院選挙制度を改革します。」って書いてあるので、やっぱりアメリカ上院方式なんですかね?
ただこの項目、マニュフェストには書いてあるけど、J-ファイル(総合政策集)には書いてないのが気になるところ。
https://jimin.ncss.nifty.com/pdf/manifest/20171010_manifest.pdf
https://jimin.ncss.nifty.com/pdf/pamphlet/20171010_j-file.pdf

ついでに、マニュフェストには道州制の導入のことなんかも書いてあるので、希望の党なんかよりもよっぽど地方分権に踏み込んでるんじゃないかと思ったり思わなかったり。