『アジア犬肉紀行』というドキュメンタリー映画はプロパガンダ失敗作だと思う
10年前に観たスーパーサイズミーの第二弾がAmazonPrimeで観られるようになっていまして。
10年前のやつは、一か月マックを食べ続けて体を壊す、というドキュメンタリーだったのでマックが悪いのか偏食が悪いのかよく分からない感じだったのですが、第二弾はスパーロックが自分でファストフードを出店するという内容。しかも、チキンを育てるところから取り組むという。
その過程で、ファストフードでチキンを出そうと思ったらビッグチキンの手のひらから逃れられないとか、肥育用に改良されたチキンの様子を見ると悲しくなるとか、広告のイメージ戦略ってすげえなとか、様々な物事の裏面が見えてくる。面白い。
そのあとで、関連作品として表示されたのがこの『アジア犬肉紀行』というドキュメンタリー。
一言で言うと、『犬食という文化を否定するプロパガンダ』なんです。
アジア諸国で少しづつ残っている犬を食べるという習慣を悪習として止めさせたいのでしょう。
ただ、止めさせる理由がよく分からない。
C国では、犬を食べるために、ペットとして飼われている犬を盗むやつがいるらしい。
これはもう単純に窃盗罪なので止めさせないといけない。
けど、止めさせるのは「盗むこと」であって「食べること」ではない。
K国では、犬を食べるために残酷なやり方で屠殺していたり、違法な犬牧場で不健全に生育されているらしい。
これは倫理観の問題だから単純ではないけど、止めてほしいとは思う。
けど、ドキュメンタリーに登場する犬肉レストランの店主も、ペットとして飼う犬と、肉にする犬は明確に分けていたし、屠殺も電気ショックだと言って道具も見せてくれていた。
それなら別に止めなくてもいいような気もする。
他にも、違法な犬牧場の映像なんかも使われていたけど、それは違法業者が悪いのだし、取り締まり切れない行政当局の問題ですよね。
そして日本。
日本では犬なんて食べないよねえ、と思ったら、中華街とか新大久保のあたりには犬肉を出す店もあるらしい。
C国とかK国出身の人が食べたり、日本人の『ゲテモノ食』として用意されているのだと。
そのために冷凍肉が輸入されていて、その輸入肉に(飼われていた証拠の)マイクロチップが入っていたりするらしい。
だから、輸入を法律で禁止するべきだ、という活動をしている人が紹介されたり。
あと、昔は日本の田舎でも犬を食べていた、と言って東北の方まで行って「昔は食べていた」「食べたことがある」という証言を集めてきたり。
『ゲテモノ食』なんて止めればいいのにな、とは思うけど、法律で禁止するようなことではない。
輸入肉に盗まれた犬の肉が入っているのは、輸出元の検査を厳格にすればいいのであって、やはり法律で禁止するようなことではない。
ン十年前に食べられていた、というのは、、、何の意味があったのか分からない。
いずれにしても、これらのことを駅前に立って喧伝して何の意味があるのだろうか、、、という疑問しか湧かない。
しかもその活動家の人は、インドで撮影されたというむごたらしい画像を持って政治家のところに行って、残酷だから止めさせたいと訴えていたけれども、、、何なんだろう。
このドキュメンタリーを見るまでは、犬を食べるということを考えたこともなかったけれども、こうやっていろんな事例を見せてもらうと、結論は一つ。
健全な犬牧場で肥育して、なるべく苦しまない方法で屠畜するなら、犬肉を食用として流通させるのもアリだと思う。
ただ、現代日本では犬食が一般的じゃないから、そんな商売をしようと思う人はいないんじゃなかろうか。
それこそ、ゲテモノ食とか一部の外国出身者のための犬肉メニューは残るかもしれないけど、それは健全肥育証明付きの輸入肉を使えばいいんだし。
K国は犬牧場も屠畜も法律で規定されているということなので、C国もそうすればいいんだよね。
日本ではそこまでの市場規模が見込めないのだから、わざわざ法規制するほとのことでもない。
こういう結論に至ってしまうほど、しっかり取材された良いドキュメンタリーだと思う。
製作者の意図とは正反対の感想かもしれないけどね。
なので、こんな作品を発表するよりも、クジラとかイルカとかウナギのことを取り上げるべきだね。
日本の食文化なら、クジラ(とかイルカ)を捕まえて殺して食べる方がよっぽど国際的な非難は大きいし、海外と国内の世論が乖離してると思う。
ウナギだってこのまま食べ続けたら絶滅しちゃうのに。
それらに比べたら犬食なんて、、、ねえ。